Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

超ブラック企業に就職(第2話)

 さて、その企業は、現場の従業員をほとんどパートで雇用していた。そして、パート従業員の時給は、経験等によって異なるものの、明確な基準はなく、むしろ会長の思いつきで決まっているようなものだった。

 通常、会社は、長期経営計画、中期経営計画、短期経営計画を作成し、修正を加えながら、経営を行うのだが、その企業には、そのような経営計画はなく、ほとんどが、会長の思いつきで行っているようなものであった。

 そのような経営であるから、資金繰りもかなり厳しい状況であった。ある部門での売上と経費について、どれだけのパートの人数及び時給であれば、売上よりも経費が上回るのか、損益分岐点を計算し、エクセルで表グラフを用いて、私が会長に示したことがあった。本来であれば、会長が経営者として、自ら計算することが当然のことであるが、それすら行わず、計画を作成せず、行き当たりばったりの経営を行っていたのである。

 いくら、初めての企業での仕事とはいえ、会長のとなりの席で1ヶ月も事務を行っていれば、そのような事が自然とみえてきた。無計画な経営で資金繰りが厳しいため、売上の入金があると、すぐに全額を引き出し、必要経費の支払い等に当てていた。このような資金繰りが厳しい事情があるためか、既に退職したパート従業員には、給料を支払わないときもあり、労働基準監督署の職員が、給料の未払を元パート従業員が訴えたとして、直接、会社の事務室に訪れたこともあった。労働基準監督署の職員が訪れて、はじめて給料を支払う始末である。しかし、すぐに支払える資金がないことから、次の売上の入金時に支払いをすると職員に約束をしての支払いだった。

 経営者のずさんな経営により、その企業の将来性は、発展性が見込めなかったといえた状態であった。そのようなことで、その超ブラック企業は、2ヶ月で自ら退職した。

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