Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

不動産の相続

町の役場から、固定資産税の関係もあるので、相続の手続きをしてもらいたいとの依頼が何度かあり、実父が亡くなって7年も経過してから、ようやく相続による不動産登記の手続きを行った。

相続による不動産登記の手続きを行う前に、遺産分割をしておかなければならない。遺言がなかったので、相続人の協議、すなわち話し合いにより遺産分割を行った。私の場合は、法定相続により、相続人は第1順位の配偶者と子となり、子は私と妹の2人であったため、協議による遺産分割も3人の話し合いですみ、さらに相続財産も建物と土地の不動産ぐらいしかなかったので、ものの数分で終わった。まだ、私の場合は相続人が3人であったからよかったものの、相続人が多くなれば、話し合いどころか集まることも大変である。

たとえば、被相続人が再婚しており、前妻との間に子が1人いたが、その子が前妻と暮らしている場合で、再婚後に子が2人いたとすると、第1順位でも、相続人は、再婚後の配偶者、前妻との子、再婚後の子2人の合計4人となるばかりか、前妻との子を呼ばなくてはならなくなるのである。郵送でのやり取りも可能であるが、いずれにせよ連絡先が分からなければならないことになる。

さて、私の場合は協議により、配偶者が不動産を所有することになった。この場合の不動産登記の手続きは、「所有権移転登記」となり、名義変更ではない。名義変更とは、所有者本人が変わらず、婚姻や離婚、養子などで名前が変更になった場合をいう。不動産の相続は、それまでの所有者が死亡しているため、所有者が変わる「所有権移転」となる。

そして、管轄の法務局に「所有権移転登記」の申請を行うのだが、申請書の他に証明する書面などが必要となってくる。どの不動産を移転登記するのか、不動産登記簿謄本が、まず必要となる。これも当然に死亡した被相続人の名義になっていなければならない。

つぎに、誰が遺産分割により不動産を相続するのか、それを証明する書類として「遺産分割協議書」を作成しなければならない。この協議書には、相続人全員の住所、氏名を記載し、実印を押す。したがって、相続人全員の印鑑登録証明書も必要となる。

相続による不動産の「所有権移転登記」の手続きで、一番面倒なのが、誰が、相続人なのかを証明するために必要な戸籍を用意することである。戸籍だけでも、私の場合は次のものを用意した。

①被相続人の改正原戸籍謄本(出生から婚姻にいたるまでのもの)
②被相続人の改正原戸籍謄本(婚姻後の配偶者、子の関係)
③被相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡、配偶者の証明)
④子の戸籍謄本(私が生存しており、相続人となることの証明)
⑤子の戸籍謄本(妹が生存しており、相続人となることの証明)

このように相続人がたった3人であっても、戸籍謄本は、5通も用意しなければならなかったのである。とくに被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本は重要で、これにより再婚しているか、前妻との間に子はいないかがわかる。

相続による不動産移転登記には、遺産分割により誰が相続するかを証明する「遺産分割協議書」が必要であるが、銀行預金を解約する場合でも、この「遺産分割協議書」が必要となる。

遺産分割には期限がない(注)が、放っておくと相続人である配偶者や子が死亡し、さらに、別の相続人に相続されるということになり、相続関係がややこしくなるので注意が必要である。

(注)法改正により2024年4月1日から相続登記が3年以内に義務付けられたので、遺産に不動産が含まれる場合は、登記の申請までに遺産分割をする必要がある。

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