昨年(2024年)1月3日に発生した日航機と海保機との衝突事故から1年が経過した。事故原因については、今も調査中であるが、海保機のみならず、日航機、航空管制官にも十分に過失があることは、以前に述べたとおりである。
最近の一部の報道では、航空管制官が衝突の15秒前に海保機の誤進入に気が付いていたとする内容もある。もし、そうであるとするならば、航空管制官は到着する日航機に対して、「GO AROUND.(復行してください。)」と指示をしなければならない。これは、着陸できない状態になったので、上昇し、もう一度着陸をなり直せという指示である。
しかし、仮にそのような指示があったとしても、日航機側で回避操作をするには、15秒前では時間的に間に合わないと思われる。また、航空管制官もとっさ的に復行の指示をすることができるか疑問である。復行の指示というものは、頻繁にあるものではない。航空管制官は航空機相互間の安全な間隔を設定することが仕事であり、航空機は航空管制官の指示により常に安全な間隔を保持しながら飛行しているので、復行の指示を行う場面というものは、ほとんどないに等しい。したがって、心理学的に考えると、普段使うことのない「GO AROUND.」という用語がとっさの時には、出せないのではないかと思われる。
だが、衝突事故が発生する40秒前には、滑走路への誤進入があったと報じられていることから、誤進入が行われた時点で航空管制官が認識をしていれば、日航機の着陸まで十分な時間があり、冷静な判断で日航機に対して復行の指示を与えることができ、日航機側も管制官の指示にもとづき回避操作ができたかもしれないのである。
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