Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

自衛隊の任務

自衛官であれば、自衛隊の任務が自衛隊法第3条に規定されていることは、誰もが承知のことである。私も新隊員の時に覚えさせられた。それは、40年も前の話である。今の自衛隊法では次のように規定されている(2020年11月21日現在)。

(自衛隊の任務)
第三条  自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、(「直接侵略及び間接侵略に対し」)我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
2  自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であって、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
一  (「我が国周辺の地域における」)我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
二  国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動

3  陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。

(注) 現行法では( )で示した「直接侵略及び間接侵略に対し」及び「我が国周辺の地域における」は削除されている。

 

私が新隊員の時は、現在の自衛隊法第3条2項に該当する部分がなかった。すなわち、当時の自衛隊法では、現在の第3条3項が、2項として規定されていたのである。

だが、時代の変化により、自衛隊の任務の増加、さらに「防衛庁」が「防衛省」に昇格したため、平成18年に「防衛庁設置法等の一部を改正する法律(平成18年12月23日法律第118号)」が制定された。この法律により自衛隊法も改正され、それまでの第3条2項を3項とし、新たに第3条2項が追加されたのである。

そして、私が自衛隊を定年退職した平成27年に「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(法律第76号、平成27年9月30日)」(以下、「改正法」という。)が制定され、これにより自衛隊法が改正され、第3条第1項から、それまでにあった「直接侵略及び間接侵略に対し」と、同条第2項第1号から「我が国周辺の地域における」が削除されたのである。

改正法に伴う国会の答弁書において、当時の内閣総理大臣であった安倍氏は次のように述べている。
「自衛隊法第3条第1項の「直接侵略及び間接侵略に対し」を削ることにより、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態における自衛隊の行動が自衛隊の主たる任務に含まれることを明らかにすることとしている。」

ここからは、私見である。それまでの「直接侵略及び間接侵略」は、日本国を明確に標的として侵略することを意味する。しかし、日米安全保障条約によって、日本国内には在日米軍基地が存在し、米国に対する武力攻撃が発生した場合、日本国内の米軍基地に対する攻撃等も考えられ、その場合は、日本国が標的ではないとしても、日本の領土及び国民が、その事態に巻き込まれる可能性は十分にある。したがって、そのような事態を含めて日本の領土及び国民を防衛することが「主たる任務」であるとし、日本が巻き添えになった場合も想定して、法整備を行ったものと、私は解釈している。

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