Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

自衛官必見! 若年定年退職者給付金を財産分与するな!(その10)

若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)について考える場合において、そもそも行政法上、給付金の定義は何か、という疑問が生じる。

給付金の支給を受けるためには、通常、受給権者としての要件が必要となる。

たとえば、「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成16年法律第166号)」では、第2条に規定されている「特定障害者」でなければ、「特別障害給付金」を受給することができない。

これと同じように、退職自衛官は、「防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年7月31日法律第266号)」第27条の2に規定されている「退職自衛官」でなければ、「給付金」を受給することができない。したがって、たとえば、定年の前に依願退職したものは、法律の定める要件を満たさないから、給付金を受給することができない。これも、退職金と異なる点である。退職金は依願退職の場合でも、過去の賃金の清算であるから支給される。

このように「特定障害者」や「退職自衛官」は、法律の定めるところに従い、それぞれの給付金を受給することができる権利を取得することになる。

すると、この給付金の受給権は、民法の相続のような特定の個人に帰属する権利と同様な法的性質となるか否かが問題となる。

もし、給付金の受給権が、特定の個人に帰属する権利であるとするならば、相続の場合と同様に、給付金は「特有財産」になり、最初から財産分与の対象にはならないことになる。しかし、この問題は、行政法を研究するには適するが、裁判で争う際の論点とするには、相当研究しないと難しい。

「給付金」は、その制度趣旨から、政策的手段であり、行政の人事的施策であるから、法律的分野では、行政法の分野となる。したがって、民間企業では存在しない自衛隊の特殊な制度として、民法の特別法である労働基準法からではなく、行政法の分野から法律を解釈する必要がある。

たとえば、定年前に依願退職した者は、行政の人事的施策(人材を確保する目的)に反した結果となるため、給付金の受給の権利が与えられないことになる。このことは、制度趣旨から法律を解釈すれば、見えてくる内容なのである。

 

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