Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

自衛官必見! 若年定年退職者給付金を財産分与するな!(その13)

若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)の制度趣旨については、衆議院に法案が提出された際に、当時の防衛庁長官が本会議において、簡単に述べており、これらの議事録は、「国会議事録検索システム」で検索でき、しかも、その議事録を記載した官報をPDFファイルとしてダウンロードできるので、それを印刷して、裁判の際には、給付金に関する法令解釈のための証拠資料として提出することができる。

第118回国会 衆議院 本会議 第16号 平成2年5月17日

平成2年5月31日の衆議院本会議で、当時衆議院議員であった鈴木宗男氏が、

「本案は、三月十三日に提出され、五月十七日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

委員会におきましては、五月二十四日石川防衛庁長官から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、我が国の平和と安全に寄与している自衛官に対する処遇改善の推進、若年定年退職者給付金制度の内容、平成三年度以降における次期防衛力の整備方針等、広範多岐にわたって質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。」

と述べていることから、平成2年5月24日における衆議院内閣委員会での質疑に関した議事録を読めば、給付金制度について、細部まで制度趣旨を踏まえた法令解釈ができるとともに、これらも裁判において証拠資料として提出することができる

第118回国会 衆議院 本会議 第20号 平成2年5月31日

第118回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 平成2年5月24日

平成2年5月24日の議事録からは、次のようなことが理解できる。なお、原文を簡略化しているので、正確には原文を参照のこと。

 

給付金制度は、自衛隊にしか存在しない特殊な制度であることを述べている。

Q 自衛隊独自の将来永遠に続く政策的制度か

A 一般公務員が定年が六十歳であるのに対し自衛官だけが唯一の例外として若年定年であり、本制度はその若年定年で退職せざるを得ない自衛官についての不利を補うということから考えたもので、制度は専ら自衛官についてのみ考え得る制度

 

自衛官の若年定年時から、一般公務員の定年である60歳までの保障としている。

Q 定年年齢から年金開始年限までの保障か

A 趣旨は、一般公務員の定年六十歳と自衛官の若年定年とのその差の不利益、つまり一般公務員の定年対自衛官の若年定年というその差の不利益を埋めるために設けた制度で、直接的に年金の支給開始年齢との関係はない。したがって、将来に支給開始年齢がどういうふうに発展していくかということとは直接の関係を持たない

 

2回に分けたのは、退職後の所得を調べ、高所得者に支給しないためとしている。

Q 何も二回に分けなくても一回で支給された方が趣旨に沿うのではないか

A 退職後の所得が平均的には四割程度、中には在職時の給与を上回るような再就職賃金を得ている者もいるかもしれない。そういう者にまでこの給付金を給付する必要はない。そのために退職後の一年間の所得をチェックしなければいけない。それが明らかになるのが翌々年の八月ごろで、全体を計算したうち七分の二を退職直後に払い、残り七分の五の中で調整を施したいということで、所得を勘案して所得の高い者に支給を避けるという目的から便宜二回に分けた

 

国会に法案が提出された段階では、課税について調整中であったが、後に1回目が退職所得、2回目が一時所得として通達により通知される。

Q 所得税法上はどのようになるのか

A 関係当局と調整中で、結論は出てないが、いずれにしても何らかの適切な課税がなされるというふうに理解している

 

このように、国会の議事録から制度趣旨を踏まえ、条文を解釈したならば、給付金は、定年退職後から60歳までの賃金の補填であり、しかも一律ではなく、高所得者には支給されない、ということが分かる。

したがって、給付金は、退職金のように過去の労働力の対価となっておらず、よって、財産分与の対象にはならないのである。

 

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