Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

再就職先では自衛隊のことは話さない

 再就職して思う事がある。それは、私と同じように元自衛官が、自衛隊に在職していた時のことをよく話す者がいることである。私のように元自衛官であれば、話の内容が同じ職種でなくても、なんとなく理解することができる。しかし、民間の社員は、その話を聞いても何のことか分からず、ただ黙って聞いているだけである。要するに想像ができず、話の内容が理解できないのである。

 たとえば、自衛隊では高級幹部など、いわゆるVIPが来訪する場合、巡視経路や視察場所の清掃、点検、状況報告や会食会場等の準備、事前の予行など、何日も前から調整や準備等を進めることが多い。そして、それは一つの行事的要素として考えられ、行事予定の中に組み込まれる。しかし、民間企業では、そういうVIPによる視察がなく、たとえ、内閣総理大臣が来訪したとしても、社員は来客者としての挨拶はするであろうが、その他は通常の事業が進められるだけである。内閣総理大臣が来訪するからといって、事業を中断し、商品の製造等をストップさせるわけにはいかないのである。

 企業に内閣総理大臣が来訪することはないと思うが、もし、仮にあったとして、自衛隊ではこうしたんだ、と言ったところで内容は理解されない上、話は通じないのである。もちろん、組織的な問題もある。内閣総理大臣は自衛隊にとって最高指揮官であるが、民間企業では、自分たちが間接的に選挙で選んだ人物でしかすぎず、民間企業が経済的に発展できる行政を行うよう期待しているだけの人物なのだ。

 ほかに恒常業務や演習のことについて話しても民間の社員には、話の内容が想像できず、理解できない。したがって、自衛隊の話をしても会話は続かず、場合によっては気がつかないうちに秘密に触れることにもなりかねないので、再就職先では、自衛隊の話はしない方がよいであろう。

 

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