Second life stage of retired

自衛隊定年退職者の雄叫び

松田聖子が中央大学を卒業

 私が中央大学法学部を通信教育で卒業したことは、すでに何度も述べているが、芸能人の松田聖子も私と同様に中央大学法学部を通信教育で卒業したことが先日報道された。しかし、私と異なるところは、修業年数が4年であることだ。4年で卒業するということは、普通の通学生と変わりはないように思えるかもしれないが、実はこれが大変な努力を必要とする。

 通学生の場合は、授業に参加して教授に教えてもらうという学習スタイルであるのに対し、通教生の場合は、スクーリング授業があるものの、全体の半分以上は自分で教科書や参考書を読み、独自で勉強を進めて理解していかなければならず、そのためには多くの時間を勉強に費やす必要がある。通教生は通学生と異なり、仕事がメインで、仕事の合間を利用して学習するケースがほとんどである。そのような環境の中で、少しでも多くの時間を勉強にあてるだけでも容易なことではない。

 さらに大変なのは、自分で教科書や参考書を読んだだけでは、なかなか理解できない部分が多いことである。私も1科目を勉強するのに何冊もの参考書を購入した。参考書といっても専門書なので、1冊数千円もかかり経済的にも大きな負担となった。中央大学の図書館を利用することも可能であるが、私のように地方に住んでいるものは、スクーリングに参加している時にしか利用することができず、また、他の学生に貸し出ししている場合もあるので、必ず目的の図書があるとも限らない。そこで、経済的に負担があるとはいえ、参考書は購入した方が、自宅学習するうえでも都合がよかった。スクーリングに参加した際には、授業後中央大学の書籍売り場に向かい、これからの学習に必要と思われる書籍を何冊も購入した。しかし、何冊もの参考書を読んでも同じような表現で書かれており、内容をなかなか理解できないことが少なくなかった。

 たしか、民法債権各論のスクーリングの授業だったと記憶するが、その授業の中で担当教授が、「この△△は、〇〇ということです。」と言ったことがあった。それまで分からなかったことが、そのたった一言で内容を理解することができた。自分で学習することよりも教えてもらうことの方が、いかに理解しやすいかが分かった瞬間であった。また、独自で勉強を進めることが、どんなに難しく努力を要するかを実感したときでもあった。そんなわけであるから、私が卒業式で卒業証書を手にした時は、本当に卒業したのか、まるで夢でも見ているかのようだった。

 大学を通信教育で通学生と同じように4年で卒業することは、相当な努力の結果なのである。松田聖子の卒業は、知識人としてのみならず、努力家としても十分に称賛するに値するのである。

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