辞職表明をした静岡県知事は、職員の入庁式で「県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。」と職業差別とも受け取れる発言をした。
この知事の発言は、資本主義社会の構造を理解できていない低レベルの発言と言ってもよいであろう。 「マルクス資本論」によれば、資本主義社会における商品経済が成立するために必要な社会的条件は、商品が使用価値を含んでおり、他のものと交換が可能な価値であること、そして、生産手段が私的に所有されており、商品の生産が社会的分業によってなされていることである。
すなわち、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、あるいはモノを作ったりする社会的分業があるからこそ、商品経済が成立し、資本主義社会の構造の基盤となって、経済が発展していくのである。したがって、県庁の職員の頭脳・知性が高くても経済は発展しない。
県庁の職員は、地方公務員であり住民に奉仕する事務的な職務に法律上限られる。また、公務員は、利益を求めることはできないから、社会における経済活動に直接かかわる存在とは言えない。日本は資本主義社会の国家であり、経済活動によって発展しているのである。
知事の発言は、地方の経済活動を活性化させる意図を取り違えたものであり、批判に値するものといえる。
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