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存立危機事態

存立危機事態とは、「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15年法律第79号)」第2条第4号に定義され、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」をいう。

高市総理は、「台湾有事は存立危機事態になりうる」との発言をした。では、なぜ台湾有事が、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態となるのか。

米国と台湾は、以前「アメリカ合衆国と中華民国との間の相互防衛条約(米華相互防衛条約)」が結ばれていた。しかし、1979年に米国は中華人民共和国との国交を樹立したため、中華民国(台湾)との国交は断絶され、同条約は無効化となり、さらに1980年1月に有効期限を迎えた。したがって、現在、米国は台湾との軍事同盟は結んでいない。だが、台湾が中華人民共和国に占領される事態を避けるため、米国の国内法で「台湾関係法(Taiwan Relations Act:TRA)」を1979年に制定、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を合衆国大統領に認める法律となっている。とはいえ、米軍の介入は義務ではなくオプションであるため、同法は米国による台湾の防衛を保障するものではない。

今年(2026年)1月3日未明(現地時間)に米国が実行したベネズエラ攻撃について、トランプ大統領は、当初「米国への麻薬流入阻止」を理由に挙げていたが、マドゥロ大統領の拘束後は「ベネズエラの石油は私が管理する」と言い放った。このことから、トランプ大統領の本音は、中国が債務をテコにベネズエラから安価な石油を手に入れることを阻止する狙いがあることがうかがえる。米国は中国が世界の他国に与える影響力を懸念しているのである。

したがって、もし、中国による台湾攻撃が開始されるとするならば、米国の台湾関係法により米軍の介入が行われる可能性が高く、そうなると、台湾には米軍が在駐していないため、在日米軍基地からの派遣となり、中国軍も在日米軍基地を攻撃することが想定されるから、これにより日本国民も巻き添えになる事態となる。よって、存立危機事態になりうるのである。

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