再就職

超ブラック企業に就職(最終回)

 2ヶ月で退職したその企業では、就業規則でさえも存在しない状態であった。多分、パート従業員がほとんどで正社員がいないということが、その理由であると思われる。しかし、ずさんな経営はそれだけではない。パート従業員の個人情報の管理も不適切であった。従業員名簿や採用時の履歴書など、第三者が事務室を訪れた際、見ようと思えば、いくらでも見られる状態であった。また、既に退職した元従業員の履歴書もすべて保管されていた。

 さすがに、マイナンバーの管理だけは、鍵のかかる書庫で保管しなければならない旨を私が会長に説明したところ、中古の書庫ではあるが、鍵のかかるものを事務室に設置し、マイナンバー関連の書類は、その書庫に保管した。法令規則に基づいた事務処理がほとんど出来ていなかったと言ってもよい。会長一人で事務を行っていたのだから仕方がないと言えばそれまでかもしれない。しかし、保管されていた元従業員の履歴書をみると、事務員として採用されていた者もいたようだ。だが、多分、私のようにすぐに退職してしまうのであろう。従業員が育たないというか、超ブラック企業だから、みんなすぐに辞めてしまうのであろう。

 そんなわけだから、会長がひとりで、経理や人事、勤務割などの事務処理に時間をとられ、経営者として、本来行うべき経営分析や経営計画を立てる時間がないのかもしれない。超ブラック企業としての悪循環が続いている、と言えるのである。

 書類審査もなく、すぐに面接に来てほしいという企業は、ブラック企業の可能性があるので、気をつけたほうがよいであろう。また、よく求人をする企業は、従業員がすぐに辞めていくブラック企業であることが多い、これも気をつけるべきである。

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