財産分与

自衛官必見! 若年定年退職者給付金を財産分与するな!(その23)

若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)については、このブログで何度も説明してきた。

離婚の調停や裁判では、給付金について争われるであろう。

この給付金について、財産分与の対象の範囲ではないと、こちら側から主張するに際に、重要なポイントがある。

それは、「将来、給付金が支給されるかどうか分からない」ということだけを理由にしてはならない、ということである。

相手側としては、支給されなければ、財産分与できないであろうが、もし、支給されたならば、財産分与するべきである、と反論してくるであろう。一般論としては、給付金がどのような法的性質であるか分からない時点では、単に過去の実績に基づいて得た収入という認識となることは当然であろう。

したがって、給付金が財産分与の対象とならない旨を主張するためには、給付金が「婚姻期間中に生じた財産ではない」ことを説明する必要がある。

そして、なぜ、婚姻期間中に得た財産にならないかは、法律の条文を示して、「給付金は将来の賃金を補填するためのものであり、あらかじめ前もって受け取るものであり、過去の精算として受け取るものではない」、と強く主張する必要がある。

簿記や会計学の分野では、「前受金」というのであるが、それは、あらかじめ前もって受け取るものであり、実際にその時期がきてから清算するという意味がある。すなわち、給付金は、最初から不足分を支払うことのないように計算された「前受金」である。再就職の所得が判明した時に、はじめて調整され、給付金の支給額が、全額支給か減額、または、不支給が決定され、減額か不支給となった場合には、1回目の給付金の一部または全額を返納しなければならいことになる。

また、2回目に支給される給付金も調整によって支給されたものであるが、これも、将来の所得を補填するために支払われる「前受金」である。したがって、給付金は過去の賃金の調整により受け取るものではない。よって、給付金は、過去の婚姻期間中に得た財産を清算する財産分与の範囲には含まれず、財産分与の対象にはならないのである。

調停や裁判においては、相手に誤解の生じない言葉で主張しなければ、こちら側の意図が伝わらず、返って誤解を生じる結果となることも有り得る。

とくに裁判では、裁判官の自由心証主義に基づいて、どちらの言い分を認めるかによって判決されるので、弁護士と相談しつつ、裁判官に誤解が生じないような主張をするべきである。

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