令和2年度の富士総合火力演習は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため、一般公開が中止となり、インターネットでの配信のみによる実施となった。
富士総合火力演習の目的はなにか。陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地のホームページによれば、「御殿場市東富士演習場で富士学校の学生に対し現代火力戦闘の様相を認識させる目的で行われる演習で、1966年からは一般公開されており、国民の自衛隊に対する理解を深める目的も兼ねて行われてきました。」とし、さらに、令和2年度は、「新型コロナウイルス感染拡大防止の為、一般公開が中止となり学生に対する教育演習のみ行われました。」との記述がなされている。
我が家にはテレビがないので、娯楽のひとつとしてユーチューブを視聴するが、そのチャンネル登録のひとつに「陸上自衛隊広報チャンネル」がある。このチャンネルで「富士総合火力演習」を検索すると、過去の映像も視聴できるのだが、古くても平成21年度からとなる。それでも11年前からのこととなるので、一昔前からということになろう。
さて、目的は、「富士学校の学生」に対する教育であったが、1966年(昭和41年)に「国民の自衛隊に対する理解を深める目的も兼ねる」とされている。1966年は54年前であるが、今日で言うならば私は、次のように述べるであろう。
「富士総合火力演習の目的は、自衛隊が有する火力及び隊員の訓練練度に関する情報を公開し、日本国政府が有する自衛隊の諸活動として国民に説明し、国民との的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政機関である自衛隊組織の推進に資することである。」
これは、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」、すなわち情報公開法の第1条の目的をアレンジしたものである。私であれば、このようにアピールするであろう。しかし、この情報公開法は、行政機関、すなわち防衛省が自ら情報を公開することを目的としたものではない。情報公開法は、国民からの開示請求があった場合にその情報を開示するという法律である。したがって、富士総合火力演習は、情報公開法によって、一般公開するのではない。よって、情報公開法の目的と似ている部分があるが、滝ヶ原駐屯地のホームページの「国民の自衛隊に対する理解を深める目的」という表現が誤解を生じなくて素直な表現といえよう。
しかし、自衛隊が有する火力及びその射撃に関する隊員の訓練練度の公開は、単に国民の自衛隊に対する理解を深めるにとどまらず、諸外国に対する自衛隊の能力を公開することにより、国家防衛としての抑止力を高める効果があるといえよう。インターネットで公開することは、全世界がインターネットで情報を得ることになり、日本国の国防の強靭性を伝えることになるのである。
しかし、マスコミの報道によれば、ある外国では、その国民が自由にインターネットに接続できないようである。