日本の防空識別圏(ADIZ : air defense identification zone)において、識別不明機の存在があれば、航空自衛隊の戦闘機による緊急発進(スクランブル)が行われる。
これは、領空侵犯をさせない措置をとるためであり、自衛隊法84条により航空自衛隊が任務を行う。そして、航空自衛隊機による警告を無視して領空侵犯された場合は、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じることになる。
この場合の「必要な措置」は、政府の国会答弁において、戦闘機による武器の使用も含まれるとされている。
国会答弁は次のとおりである。
「基本的な考え方といたしましては、国際法上、国家は領空について完全かつ排他的な主権を有しておりまして、無人機を含めまして、他国の航空機は、領域国の許可を得ないでその領空を飛行することは認められていないということがまず基本でございます。その上で、何ができるかということでございますが、それは、領空侵犯の状況、領空侵犯機の対応ぶりなどの具体的な事情によりまして異なるものでございます。国際法上も、具体的なものが確立しているということはございません。ただ、その上で、一般論として申し上げますと、領空侵犯機に対しては、領空外への誘導を行ったり退去を命じたりすることができ、侵犯機が指示に応ぜず、なお領空の侵犯を継続するときには、発砲の警告、威嚇射撃をもって命令を強制することもできるというふうに考えられております。さらに、もちろん、必要やむを得ざる場合、特別な場合だと思いますが、例えば侵犯機が実力で抵抗するような場合においては、撃墜をも含む緊急実力手段に訴えることもできる、そういうふうに考えられております。」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b215014.htm)
6日に発生した中国軍機によるレーダー照射では、中国軍機がまだ領空侵犯をしておらず、自衛隊機は自衛隊法84条による武器の使用ができない状況であり、また、レーダー照射をされた時点では、攻撃の準備段階であり、実際に攻撃が開始されない限り刑法36条による正当防衛としての武器の使用も認められないということになる。
