実父が亡くなったのは、平成25年で今から7年も前のことである。財産といっても田舎の実家である土地と建物ぐらいであり、しかも建物は、不動産登記簿によれば、昭和52年に新築されたものであるから、かなり古い建物である。
そういうこともあって、たいした財産にならないと思いつつ手をつけずにいたのであるが、町の役場から、固定資産税の関係もあるので、相続の手続きをしてもらいたいとの依頼が何度かあり、昨年ようやく不動産登記の手続きをおこなった。
民法では、相続は、死亡によって開始され(882条)、死亡した人を被相続人と呼び、相続を受ける人を相続人と呼ぶ。そして、胎児は生まれていなくても既に生まれたものとみなされて相続人となる(886条)。子は相続人となる(887条)。子がいない場合は、被相続人の直系尊属が相続人となり、直系尊属がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる(889条)。このように相続権は、順序の順位にしたがって、相続人となる者が決まる。
すなわち、①子(胎児)、②直系尊属、③兄弟姉妹の順序となり、子または胎児がいれば、直系尊属や兄弟姉妹の相続権はないことになる。
また、被相続人の配偶者は、常に相続人となる(890条)とされ、子や直系尊属、兄弟姉妹がいる場合は、その者と同じ順位になる。つまり、子がいる場合は、①配偶者と子が、子がいない場合は、②配偶者と直系尊属が、子も直系尊属もいない場合は、③配偶者と兄弟姉妹が、相続人となるのである。
被相続人に遺言(法律用語では、「ゆいごん」ではなく、「いごん」と読む。)があれば、それにしたがって相続が行われるが、私の場合は遺言がなかったので法定相続とした。法定相続では、同じ順位の相続人に対する配分、これを相続分といい第900条で規定されている。
①配偶者(2分の1)子(2分の1)
②配偶者(3分の2)直系尊属(3分の1)
③配偶者(4分の3)兄弟姉妹(4分の1)
そして、子や直系尊属、兄弟姉妹が数人いる場合、各自の相続分は、相等しいとされる。したがって、たとえば、子が3人であれば、子の相続分である2分の1を、さらに3分の1にすることになり、その結果、配偶者2分の1、子それぞれ6分の1という相続分となる。
先の例でいえば、1200万円を相続する場合
配偶者(2分の1) 600万円
第1子(6分の1) 200万円
第2子(6分の1) 200万円
第3子(6分の1) 200万円となる。子の合計は、2分の1の600万円である。