前回は、誰が相続人となるか、また、相続される財産の配分、すなわち相続分について話した。通常は、配偶者と子がいる場合が多いであろう。私の場合も同様で、したがって、相続人は、第1順位の配偶者と子、ということになり、さらに私の場合は、妹がいるので、子はそれぞれ等しい相続分となるため、私は4分の1という相続分となる。
遺産の分割は、遺言がなければ、いつでも協議による話し合いで資産の全部又は一部を分割することができる(民法907条1項)。しかし、協議が調わないときは、家庭裁判所に分割の請求をすることができる(907条2項)。その場合は、「遺産の分割は、遺産の属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」行われる(906条)。だが、一般の家庭では、争うほどの財産はないと思われるので、話し合いで決まるケースが多いであろう。
さて、遺産分割は、資産の種類によって実質的に分割できないものもある。たとえば、土地や建物などは、分割することができない。もし、資産が500万円の不動産のみであり、相続人が配偶者と子の二人だとし、配偶者が不動産の所有権を相続するとした場合は、配偶者が残り半分の250万円を現金で子に支払うことによって、遺産を分割するということになる。また、500万円の不動産のほかに、500万円の現金があれば、不動産か現金のどちらかを選択すればよいが、通常は、不動産が500万円、現金250万円、自動車50万円というような資産となるので、配偶者が不動産、子が現金と自動車を選択しても、それぞれ2分の1ずつ分割されないことになる。しかし、相続人の間で争いがなければ、それでも問題がないのである。