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機関銃落下で隊員死亡事故、指導・監督役含む5人を処分

中日新聞によれば、今年(2025年)3月13日午後6時45分ごろ、ヘリからの降下を想定したレンジャー訓練中に、隊員が所持していた5.56ミリ機関銃(重さ約7キロ)が落下し、下にいた2等陸曹(41)の左胸に直撃し死亡した事故で、陸自は7月24日、銃を誤って落下させた第13普通科連隊の3等陸曹(27)ら5人を停職や減給などの処分とした、と報じた。

それによると、3等陸曹を停職1日、訓練中の指導、監督を担っていた20代の2等陸尉の2人を減給15分の1(1カ月)、1人を同30分の1(同)の減給、訓練指揮官だった佐官を戒告とした。陸自は6月、3等陸曹を業務上過失致死の疑いで書類送検している。(https://www.chunichi.co.jp/article/1105010、2025年7月24日 19時41分配信)

本件については、すでにブログで述べたように、機関銃を落下させた当事者のみに刑事責任を負わせることは妥当ではなく、よって、組織として安全管理体制おける安全配慮義務が欠けている点について、組織における関係者に行政責任としての処分が行われたものといえる。

機関銃を落下させた当事者は、業務上過失致死の疑いで書類送検されており、もし、起訴され裁判で有罪となった場合は、自衛隊法第38条第1項第1号(2025年7月27日現在)の規定により自衛官としての欠格条項に該当し、自衛官としての身分が失われる。これは、懲戒免職とは異なる。

懲戒免職は、自衛官になる資格を有した者を処分する行政行為である。これに対し、欠格条項とは、もともと自衛官になる資格がない、または、資格があったがその資格が失われ、失職することを意味し、処分によって自衛官としての身分を剥奪(はくだつ)する懲戒免職とは異なる。しかし、有罪となれば、前科一犯となり、犯罪者としてのレッテルが貼られるという社会的制裁を受けることになる。

機関銃を落下させた当事者の3等陸曹は、業務上過失致死の疑いで書類送検されたものの、検察官の取り調べにおいて、組織としての安全管理体制に問題があると判断されれば、検察官が起訴猶予とする可能性は高いと考えられる。もし、起訴猶予となれば、刑事責任を受けずにすむので、引き続き自衛官としての身分を有することができる。

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