一般の人からは、「自衛隊は普段何をやっているの?」との質問を受けることがあるが、当然に戦闘に必要な訓練を行っているのだが、それが具体的によくわからない、と言われる。
自衛隊の訓練は、陸上自衛隊を例にすると、「陸上自衛隊の教育訓練に関する訓令(陸上自衛隊訓令第10号、昭和38年4月22日、最終改正令和6年3月19日省訓第13号)」(2024年11月21日現在)という部内規則に基づいて訓練が行われている。
同訓令第3条では、「陸上自衛隊の教育訓練は、隊員及び部隊等をして自衛隊の使命に基づき、その任務を完全に遂行できるようにすることを目的とする。」と規定されている。
教育訓練は、基本教育及び練成訓練の区分により実施され(第4条)、わかりやすく言うと、基本教育は、階級等に応じた教育訓練で、練成訓練は。隊員の練度を向上させるとともに精強な部隊を作り上げるための教育訓練である。
たとえば、基本教育の一つに「自衛官候補生課程」(第15条)があり、これは、これから自衛官になるために必要な、「隊員としての資質を養うとともに、各職種共通の基礎的な知識及び技能を修得させる(第15条第2項)」ことを目的として行われる。そこで、次のような教育訓練が日々行われることになる。基礎的な知識としては、日本国憲法をはじめ自衛隊法などの法令、自衛隊の部内関係の規則類、武器の取り扱い、小銃の分解結合、敬礼や行進などの基本教練、救急法、秘密保全など、座学等で実施される。基礎的な技能としては、射撃を行う際の姿勢のとりかたなどを訓練する射撃予習、その後実弾を用いた射撃検定、第1匍匐(ほふく)から第5匍匐までを含めた基礎的な戦闘訓練、ガスマスク装着訓練及びガス体験、基本教練における正確な敬礼動作及び行進間の動作の訓練、完全装備による10km行進訓練、格闘訓練、体力を練成させるため持続走などの体育訓練および体力検定、演習場で寝泊まりする野営訓練など、その内容は基礎的なものばかりである。
そして、部隊に配属されると、練成訓練として、諸先輩方と射撃予習を行いその後実弾射撃検定、持続走訓練を行いその後体力検定、格闘訓練を行いその後格闘検定、演習となれば、敵を想定しての戦闘訓練が行われるのである。