財産分与

自衛官必見! 若年定年退職者給付金を財産分与するな!(その26)

若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)は、定年退職後における再就職で得られる賃金が現役の時よりも減少した場合に、その賃金を補填するものである。

私の場合は一括での受領を希望したので、給付金は、通常であれば2回目に支給される時期に一括で支給された。したがって、退職時には1回目の支給はなかった。

しかし、離婚裁判において、被告である相手側は、給付金も退職金としての性質があると捉えており、給付金も財産分与すべきとの反論であり、しかも、給付金も退職金であるとの認識から、退職金を被告側は、差し押さえしたのである。

しかし、民事執行法第152条第2項で、

「退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。」

との規定があり、実際に差し押さえられた退職金の額は、全体の4分の1である。もし、1回目の給付金が支給されたとするならば、1回目の給付金は、税法上退職手当となるため、1回目の給付金の4分の1も差し押さえられるものと考えられる。しかし、私の場合は、1回目の支給がなかったので、退職金のみが差し押さえられたのである。

さて、差し押さえされた退職金の4分の1は、どうなるのか。

国は、「国家公務員退職手当法(昭和28年8月8日法律第182号)」という法律により、退職金を必ず支給しなければならない。しかし、差し押さえられた分を退職者に支払うわけにはいかない。そこで、退職者に支払う代わりに法務局にあずけるのである。これを供託といい、差し押さえの場合を執行供託という。国は、本人に支払う代わりに法務局に供託することによって、本人に支払うことと同様な法的効果が生じ、退職金を全額支払ったことになり、支払う義務を果たさすことになる。

したがって、裁判が終結し、差し押さえる必要性がなくなった場合は、差し押さえされた分を自衛隊に請求するのではなく、法務局に請求するのである。

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