若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)の制度趣旨について、前回は、衆議院における議事録について若干の内容を示した。今回は、参議院における議事録について、その内容を示す。なお、これも「国会議事録検索システム」で検索できるので、その議事録を記載した官報のPDFファイルをダウンロードし、それを印刷して、裁判の際には、給付金に関する法令解釈のための証拠資料として提出することをすすめる。
第118回国会 参議院 内閣委員会 第6号 平成2年6月5日
第118回国会 参議院 内閣委員会 第7号 平成2年6月12日
平成2年6月12日における参議院内閣委員会での質疑に関した議事録の一部を紹介する。なお、原文を簡略化しているので、正確には原文を参照のこと。
自衛官のライフスタイルに応じた使用を許すという点で一時金として支給
Q なぜ二回で支給するのか。七年間の生活を保障するのであれば、毎年毎年きちっと保障をしていけばいい。
A 各個々人のライフサイクルに応じた使用を許すという意味から一時金として構成し、一時金であるが、所得を把握する関係で二回に分けてこれを支給することとした。
なお、支給を毎年やるということになると、非常に国の事務がかさみ、国の増員あるいは予算といったようなことで非常に経費がかかる、手数がかかるというようなことにもなのるで、行政事務の簡素化という観点をも加味して一時金という構成をとった。
自衛官の再就職賃金が在職時の給与の約4割と分析し、減少した分を給付金で補填する。(ただし、在職時の給与の75%まで。)すなわち、給付金は、過去の労働賃金ではなく、将来の労働賃金としての性質を有する。
Q 再就職した場合の賃金の実態はどうなのかをある程度国民の前にはっきりさせないと、理解は得られないのではないか。
A 再就職での職種は、給仕、ビル管理等のサービス職に約二割、建設、生産等の現場作業職に二割弱、警備、守衛等の保安職にやはり二割弱、受付、伝票整理といった単純作業、あるいは外交員、セールスといったような職に合わせて二五%程度で、ほとんどの者が現場作業的なものという感じの就職先
それで、再就職賃金ですが、六十三年度退職自衛官の生活実態調査の結果、平均して最終の在職時の給与の約四割、正確には四三%というのが再就職賃金の平均の実態
給付金は、在職時の給与の75%となるように補填するとしている。
Q 給付金によって最終の賃金の大体どのぐらいのところまで補てんされるのか。
A 平均すると一年について本俸の六カ月分の給付金という計算になり、それに七年分ということですが、一年当たりで見ると先ほどの再就職賃金約四割と、それから今の本俸の六カ月分であるから年間にして半分ですが、それは給与ベースに直しますと三三%程度になるので、先ほどの再就職賃金約四割と合わせまして約七五%の水準になる。
このように参議院での質疑においても、自衛官の再就職後の所得の補填という点で説明がなされており、在職中の退職金とは、その性質がまったく異なるものなのである。