財産分与

自衛官必見! 若年定年退職者給付金を財産分与するな!(その15)

若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)の課税については、すでに述べたように、1回目は退職所得として、2回目は一時所得として取り扱われ、自らの確定申告によって納税することになる。

私の場合は一括での受領であったが、一括の場合でも1回目に相当する金額については、退職所得として取り扱われ、退職時に源泉徴収される。したがって、一括の場合は、2回目に相当する時期に給付金が全額支給されるが、確定申告によって、納税する金額は、2回目に相当する金額の部分のみとなる。私の場合、確定申告によって納税した金額は、723,400円であった。税金は、銀行口座から引き落としされるので、過去の預金通帳を見れば分かる。しかし、1回目の源泉徴収された金額については、書類を破棄したため記録として残っていないので、今では分からないが、1回目と2回目をあわせると百万円ぐらいは、税金を納付すると思われる。

もし、給付金も財産分与とされるのであるならば、給付金の半分は財産分与とされたうえ、百万円ほどの税金も支払わなければならないことになる。

給付金は、将来の所得を補填するもので、賃金の一部と考えれば、賃金には所得税がかかるため、給付金に税金が課せられたとしても、賃金と同様であり、不利益は生じないことになる。

しかし、給付金が財産分与とされた場合、相手に分与する金額に対する税金もこちらが負担することになり、二重、三重の不利益を被ることは間違いないのである

 

財産分与の判例(裁判事例)として次のようなものがある。

X男がY女と離婚する際に、Yは、Xが所有する建物について土地を含めてYに財産分与することを求めた。この時Xは、Yが課税されるのではないかとの気遣いをしたが、結果的にXが承諾して、X所有の不動産を財産分与とした。

しかし、離婚後に財産分与した不動産は、Xに課税されることをXが知り、その金額は、当時で2億2224万余円であることが分かった。

そこで、Xは、あまりにも高額な税金が自己に課せられるのを知らなかったとして錯誤無効(勘違いだったので、約束は成立していない)を主張して、取り消しを求めたものである。

最高裁は、錯誤無効としてXの主張を認めた(最高裁平成元年9月14日第一小法廷判決)。

 

この事例では、課税額があまりにも高額であり、また、本人もこのような高額な税金が本人に課せられることを知らなかったことから起きた事件であったから、最高裁も取り消しを認めたと言える。

 

所得税法第33条では、資産の譲渡による所得に対する課税の規定があり、財産分与として資産の移転があった場合は、分与者(こちら側)が譲渡をしたことになり、課税されるのである。(国税庁ホームページ参照

したがって、給付金の課税額は、我々にとっては高額であるが、給付金が支給されれば支払うことが可能であることから、給付金の半分を財産分与とされても、こちら側が相手の分まで税金を支払わなければならないのである。

よって、給付金は財産分与とするべきではなく、もし、財産分与としてしまったならば、税金の面でも不利益を被ることになる。

 

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