若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)を財産分与しない旨について、相手が納得せず、裁判となった場合の和解以外の留意点について述べる。
まず、こちら側が訴えを起こした場合は、こちら側が原告となるが、相手が訴えを起こした時は、こちら側が被告となり、裁判所から訴状が届いてはじめて訴えがあることを知ることになる。
私の場合は原告であったため、あらかじめ弁護士に依頼して訴状を作成してもらったため、これから裁判がはじまることは当然のことながら知っていた。
しかし、相手が訴えを起こし、こちら側が被告となった場合は、突然に訴状が届き裁判となることを知ることになるので、裁判になることを予期していないことから、その準備をしていないと思われるが、それでも早急に弁護士に依頼して対処する必要がある。
裁判が行われることを刑事裁判では「公判」というが、民事裁判では「期日」という。そして、裁判では弁論主義というものを採用しているため、はじめて行われる裁判を「第1回口頭弁論期日」という。
被告となった場合は、通常、訴状が届いた時には、裁判となることを予期していなかったため、裁判の準備がなされておらず、そのため、とりあえず答弁書を提出して対応することになる。相手が、どのような訴状を提示するかは、それぞれ異なり特定できないが、多分「退職金のほかに給付金も支払われるので給付金も財産分与せよ」というような内容になると思われる。そのような場合は、「給付金は、退職金とは法律上違うものなので財産分与の対象とはならず、したがって給付金は財産分与しない」というような答弁書を提出し、第2回目移行の期日で具体的に財産分与の対象にはならない旨を法的根拠や証拠を提示し、主張していくことになろう。
さて、ここで、もし訴状が届き被告となった場合、安易にそれを無視してしまうと、原告である相手の主張を認めたことになる(民事訴訟法第208条)。そうすると、すぐに相手の主張通りの判決となるため裁判の負けが確定する。したがって、絶対に無視してはならず反論しなければならないのである。
民事裁判は、裁判官がどちらの言い分(弁論)をとるか、なのである。こちら側が何も言わなければ、相手側の言い分で判決となるのである。