若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)は、今まで説明してきたように、未来の給与を補填するためのものであるが、その支給の方法は、2回であり(希望すれば一括であるが、この場合は、2回目に支給される時期に一括で支給される。)、1回目が定年退職時であり、2回目は、翌々年に支給の調整において下限額を超えない場合に、高額な給付金が支給される。このため、給付金は、退職金と同様な意味合いで、一般人は考えてしまうであろう。しかし、2回にわたって支給される給付金は、定年時から60歳に至るまでの賃金の補填を一括して支払われるのであって、そのため高額となるだけの話である。
だが、ほとんどの自衛官の配偶者は、そのような知識や認識はなく、あたかも退職金のように考え、離婚請求があったときは、給付金も財産分与せよと主張する場合が多いと思われる。
以前にも話したことがあるが、私の元妻には、親戚に定年退職した自衛官が、陸自と空自の二人がおり、それぞれの親戚から、退職金のほかに給付金も支給されるとの情報を得たのであろう、裁判では、給付金も財産分与せよと請求してきたのである。
だが、これは、ある程度予想しており、裁判を私が提訴する前に給付金が財産分与の対象にならないことを法解釈して考え準備していた。
しかし、問題は、裁判官がどのように解釈し理解してもらうかであった。依頼した弁護士でさえも、なかなか理解してもらえず、工夫をこらして、ようやく説得し理解してもらったものである。
給付金制度は、自衛隊にしか存在しない特殊な制度であり、一般の民間企業では、絶対に有り得ない制度であるから、制度趣旨や自衛隊の組織としての政策上のありかたを理解しなければ、誤った解釈になってしまう。
私が、このブログで給付金について述べるのは、制度趣旨に基づいて正しく法解釈してもらうことを目的としている。