若年定年退職者給付金(以下、「給付金」という。)が離婚の際に財産分与される点について絶対に譲れないことは、不公平となるのみならず経済的不利益を被ることである。
このことは、前に具体的に説明したが、さらに言わせてもらうならば、給付金を財産分与の対象とすることは、退職後の再就職において、現職時代に相当する賃金を得ているものは(給付金が不支給なので)財産分与の対象とならないのに対し、十分な賃金を得られず、給付金により補填される場合は、(給付金が支給されるので)財産分与の対象となるのは、公平性に欠け、さらに正義に反する理論と言わざるを得ない。
再就職の賃金が、高収入 ⇒ 給付金なし ⇒ 退職金のみが財産分与
再就職の賃金が、低収入 ⇒ 給付金あり ⇒ 退職金と給付金が財産分与
再就職後、しかも離婚後における収入の格差で財産分与の額が異なることは、夫婦財産制の理論に反するのみならず、公平性に欠けることになるのではないか。
離婚する際に、既に再就職が決まっており、給付金が支給されないことが分かっている場合は、最初から給付金がないので財産分与の問題とはならないであろうが、まだ、就職先が決まっておらず、とりあえず給付金が支給される前提であるときに、その給付金を財産分与としたならば、離婚後の再就職において、高収入を得て、所得の調整後に不支給が決まった際でも、実際には支給されない給付金も財産分与とされてしまうのは、理論的におかしいのではないか。実際に不支給まではないものの、減額されたケースの話は、就職先の元自衛官から聞いたことがある。減額といってもその幅には個人差があると思うが。
繰り返し言うが、
退職金は、過去の精算、すなわち婚姻期間中の収入(賃金)の精算だが、
給付金は、未来の補填、すなわち婚姻期間外の収入(賃金)に対しての補填である。
給付金を財産分与とすることは、公平性に欠け、かつ、経済的不利益を被ることになり、もし司法が財産分与の対象と判断したならば、それは憲法の保障する財産権を司法が侵害することになる。
しかし、自分の場合は、裁判官が財産分与の対象にはならないと判断してくれた。