安全保障

自衛官の労働基準法適用除外

自衛隊法では、自衛隊や自衛官に対して、他の法律が適用除外となるような規定がある。その一つが労働基準法である。

自衛隊法第108条では、「労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、船員法(昭和二十二年法律第百号)(第一条、第二条、第七条から第十八条まで、第二十条、第二十五条から第二十七条まで、第百二十二条から第百二十五条まで、第百二十六条(第六号から第八号までを除く。)、第百二十七条、第百二十八条(第三号を除く。)及び第百三十四条並びにこれらに関する第百二十条の規定を除く。)、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)、船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)並びにこれらに基づく命令の規定は、隊員については、適用しない。」と規定されている。

自衛隊は任務達成のために、場合によっては、24時間体勢で勤務しなければならない時があり、労働基準法の適用を受けていては、任務に支障が生じることになるからである。したがって、いつでも出動できる心構えが必要となるのみならず、長時間勤務に耐えられる体力も必要とされるのである。

自衛官は、自衛隊法第60条による職務に専念する義務や、同法62条の私企業からの隔離により副業をすることができないから、労働基準法の適用が除外となっても矛盾するところはなく、特に問題は生じない。

労働基準法の適用がないかわりに、自衛隊法第65条により、自衛隊法施行規則が定められ、さらに同法施行規則により、「自衛官の勤務時間及び休暇に関する訓令(昭和37年10月23日、防衛庁訓令第65号)」が規定されて通常の場合における勤務時間管理や、休暇の取得ができるようになっているのである。

このような自衛隊法による他の法律の適用除外は、自衛隊の任務が支障なく遂行できるようにするために存在するのである。

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