安全保障 資格・免許

自衛隊で取れる資格免許

自衛隊では、各種資格免許を取得することができる。しかし、自動的に資格免許が与えられるのではなく、自衛隊は、必要な知識を得るための授業を行うのみで、最終的に受験者本人が勉強しなければ、資格免許は取得できない。

たとえば、大型自動車免許は、駐屯地内に自動車教習所が設けられているのが、全国に数ヶ所あり、そこで講習を受けるのだが、学科試験は、公安委員会の運転免許センターにおける本試験を受験しなければならず、そこで合格しなければ、免許は取得できないことになる。私が自衛隊の自動車教習所に入所したのは、40年以上も昔の話になるが、その時は、学科の模擬試験において平均で90点以上取らなければ、本試験を受験させてもらえなかった。

自衛隊には、資格取得を目的とした採用試験がある。医師やパイロットである。医師は、防衛医科大学校の採用試験に合格しなければならず、さらに大学校で学んだ後に国家試験を受験し合格しなければ医師の資格免許は取得できない。また、採用には、一般大学の医学部への入学とは違い、自衛官としての身分を有するに必要な、身体的、体力的な面も判定される。さらに、入校後は、医学に関する授業のみならず、防衛に関する授業も当然に行われる。

パイロットは、陸と海空とでは異なる。陸は、陸上自衛官として採用後に、部内選抜試験において合格した者が操縦課程の教育訓練を受ける。しかし、海空は、パイロットとしての適性のある者を当初から航空学生として採用する。したがって、陸の場合は、不合格となってもパイロットへの道には進めないだけで、自衛官として引き続き勤務できる。だが、海空は、不合格となったが、パイロット以外の自衛官になりたい場合は、再度、採用試験を受験しなければならないことになる。

陸のパイロットと同様に採用後に部内の選抜試験によって、資格免許を取得できるものとして、航空管制官、准看護師、診療放射線技師などがあるほか、希望して資格免許が取れる教育訓練を受けることができる課程もあるが、これは、職種や定員などで限定される場合がある。

私は、陸上自衛官として採用された後に、航空管制官の部内選抜試験を受験し合格した。このことは、以前「Turning point(2024/3/10)」と「Air Traffic Controller(2024/3/15)」において英語で記載した。

私は、航空管制官の部内選抜試験に合格後、まず、陸曹に昇任するため陸曹候補生課程に約3か月入校した。その後、航空自衛隊第5術科学校(愛知県小牧市)に入校し、約1年1ヶ月間に及ぶ課程教育を受けた。その間に、航空級無線通信士(英語、無線工学、法令)の国家資格取得のための授業を受け、その後、名古屋市内で受験し合格した。そして、航空管制官に関する科目を9科目、航空航法、航法援助施設、航空機概論、航空気象及び航空気象通報式、国内航空法、国際航空法、飛行場管制方式、計器飛行管制方式、レーダー概論及びレーダー管制方式をそれぞれ1科目ごとに、国土交通省航空局から試験官を招いて試験を実施して、学科に関する航空管制基礎試験に合格した。

航空自衛隊第5術科学校の卒業後は、陸上自衛隊北部方面航空隊の北部方面管制気象隊基地隊(丘珠:札幌市)に配属になり、管制塔の飛行場管制所において、約1年間の実務訓練(OJT)を実施した。実務訓練終了後、国土交通省航空局から試験官を招いて、実技、筆記、口述の試験が行われ合格した。これによって、航空管制官の資格である航空管制技能証明を得たのだが、この資格を得るために概ね2年間かかったことになった。

自衛隊で取れる資格は、自動車運転免許から航空機のパイロットまで様々であるが、専門的分野における資格取得には、課程教育における期間が長期に渡るとともに知識や技術を習得するのに日々の努力が必要であり、自衛隊だから簡単に資格が取れるというものではない。

自衛隊の日課時限とラッパ号音

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